「デジタル・ネットワークがアニメ製作と経営を変える」
東映アニメーション 代表取締役社長 泊懋氏

東映アニメーションは1956年創立で43年の歴史を持つ。
今、(製作環境は)ちょうど転換期にあり、後でちょうどこのころが
デジタル化の境目だったんだなと振り返ると思う。
1972年のマジンガーZでキャラクタービジネスが軌道にのりだしで
経営が安定してきた。1997年のゲゲゲの鬼太郎で
デジタル製作(Retas)に取組み、今、100%Retas化している。
年間230本〜240本を製作している。海外展開では、97年には
日本の全輸出映像ソフトの42%を東映が占めた。内容はほとんどが
ドラゴンボールZとセーラームーン。ただし、ガタイが大きくなった
今、改革が必要である。
海外展開ではFOXキッズでデジタル・モンスターの放映を始めた。
次はこれがあたってくれればいいと思っている。多チャンネル化
では、どこも苦戦しているがアニメは幸い黒字になっている。
ただし、テレビ向けは楽観できない。娯楽の多様化、小子化とともに、
その少ない子供が(まわりに家族の姿が無く)一人でぽつんと
見ているだけなのでTVアニメの商品価値が下がりつつある。
プロダクションも、一本作るごとに赤字が出て、それを他でどうやって
埋めようか考えている。一発当ててと考えるプロダクションも多いが、
過去、そうやって何社つぶれて来たことか。東映アニメーションは
ここをデジタル化で乗り切ろうとしている。
彩色、撮影、現像の部分は98年からすべての作品にRETASを
導入して、年間約1億円のコスト削減ができた。今は仕上げの
プロダクションと70%の仕上げをやっているフィリピンのEEI-TOEIから
データがMOと専用回線で送られてくる。生産性は3倍になった。
これまで前工程で遅れるのが当たり前で、その時、彩色する
人間をずらっと並べて取り返していた。
製作部の工程管理の鬼軍曹も、最初はRetasの導入でPCの
台数が無いことに不安がっていたが、効率よく作業ができた。
今後、タブレット入力の実用化(MMCA)、製作工程管理システムの
取組み(IPA)で、通産省の補助もいただいて年間数億円の工数削減を目指したい。
タブレット入力については、この前、若手ゴルファーのガルシアが
大泉のスタジオに見学に来たことである。彼は、ドラゴンボールの
大ファンでタブレットに書き掛けの絵を渡すと髪の所を仕上げて
サインしてくれた(22-11-99のガルシアのサイン入りのドラゴン
ボールの絵を投影)。実際、大泉のベテランの原画マンにテストして
もらっているが、思っていたより使いやすい。
初代の東映アニメーションの社長は、ディズニーを目指すと言っていた。
私で5代めだが、ディズニーはすでに50台のタブレットを入れてロス、
フロリダ、東京を結んで仕事しているという。ディズニーは依然として目標である。
レタスによる彩色から撮影までのデジタル化、タブレットによる
原画、動画のデジタル化とともにネットワークを活用して全体の
効率化に取り組んでいる。NTTの人間がスタジオに張り付いて
業務分析をしている。2-3億の効果があるというレポートが上がっている。
現在、製作進行状況を毎日徹夜で入力しているが、これらも
リアルタイムでわかるようになる。社長には良い報告が来るものだから、
ここだけの話にしておきたい。
アニメ製作会社は西武池袋線、新宿線、中央線沿いに全部で136社
集中している。31日の朝刊に囲み記事で出たが、我が社がモルモットに
なってまず10社の取引先、秋には23社とつないで高速回線でネットワークを
組んで作品の配送をしたい。他のプロダクションでもいっしょになやりたい
ということなので、ぜひ、業界全体に広げて、この地域を
「アニメヒルズ」として業界ネットワークにしたい。
私は映画の出身だが、1930年には鳴滝組というものがあった。
1950年代には、マンガのときわ荘、今は渋谷のビットバレーがあるが、
せび、アニメヒルズによって業界の活性化をはかりたいと思っている。
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